2006年09月06日
伊藤若冲がやってくる! その4

1968年に美術手帖に連載された《奇想の系譜〜江戸のアバンギャルド〜》をまとめて1970年に出版され、現在の伊藤若冲ブームの礎となったのが「奇想の系譜/辻惟雄」です。数年前に文庫化されたのをしばらく前に購入していたのですが、この機会に読むことにしました。
この本で紹介されているのは伊藤若冲、岩佐又兵衛、狩野山雪、曾我蕭白、長沢蘆雪、歌川国芳の6人。江戸時代には決して異端という扱いではなかったようなのですが、明治以降、評価の対象から外れていた絵師達の系譜です。若冲以上に強いインパクトを残す曾我蕭白など、彼らの比類なき独創性を多くの図版を参考にひも解いていきます。文庫におさめられた小さな図版からもそれぞれの強い個性が容赦なく溢れ出していて、おもしろく読むことができました。
今回の「プライスコレクション〜若冲と江戸絵画展」は米国のコレクター、ジョー・プライス氏のコレクション展示なのですが、彼が最初に若冲の作品を購入した1953年には現在では考えられないほど、安い値段がつけられていたそうです。彼はその後も若冲や他の絵師の作品を収集していくのですが、その基準となったのは当時の学術的な評価よりも極めて個人的な趣味と思い入れだったようです。今回の絵画展には若冲の他にも曾我蕭白、長沢蘆雪の作品が展示されています。(雑誌和楽によるとプライス氏がもっとも好きな絵は和歌山無量寺にある長沢蘆雪の「虎図襖」だそうです)
「奇想の系譜」には続編として「奇想の図譜」という本もあり、それも近々に読まねばと思いました。
■伊藤若冲がやってくる・その2・その3
■「若冲と江戸絵画」展HP
■「若冲と江戸絵画」展 オフィシャルブログ