2009年02月06日
『ザ・ローリング・ストーンズ シャイン・ア・ライト』を観た

大津まで遠征して、『ザ・ローリング・ストーンズ シャイン・ア・ライト』を観てきた。
ストーンズとマーティン・スコセッシのコラボがつまらないものになるわけがなく、ロックエンタテイメントとして、最高の映画でした。
特にオープニングまでのストーンズ(特にミック・ジャガー)とスコセッシのせめぎ合いがたまらない。セットリストを「出せ」、「出さない」というままに収録日当日を迎えてやきもきするスコセッシを尻目にストーンズはこの日の主賓であるビル・クリントンの相手に余念がない。刻々と迫る時間に、スコセッシは焦れて焦れて焦れて、ようやく開演間近にセットリストが手渡され、同時に幕があく。
“ジャンピング・ジャック・フラッシュ”だ!
もうそのシーンだけで感極まるのに、歌いだしたミック・ジャガーの動きにまったく目を奪われる。冒頭からしばらく、生で観ているかのようにテンションがあがってしまった。その場で立ち上がって歓声をあげたら、もっと楽しかったに違いない。
ライブ会場の最前列を占めるのはモデルさんみたいなひとばかり(仕込みなのか?)で、その後ろもちょっと小金を持ってそうな客の方が多くて、ストーンズのテンションに比べると、どうも観客の盛り上がりが普通のコンサートと変わりなく、それがちょっと気になった。ストーンズを観ているというのみんな余裕があり過ぎなのだ。
1990年のストーンズ初来日を僕は東京ドームのスタンド席で観たのだが、ステージの上の彼らはほんとうに小さくて、どうにも頼りない気持ちになったのだけど、この機会を逃したらもう二度と観ることができないと思っていた(それから何度も来日してるけどな)。
それから20年近くたってストーンズのメンバーは皆な60代だというのに、あいかわらず(実は80年代よりもずっと)元気そうで、これからだって何度もツアーをやってくれそうだ。その「永遠」な感じが、エンタテイメントとしては最高なのだが、逆にミュージシャンと観客との間で結ばれる刹那的で密接な関係性が希薄になったような気がした。
いや、ストーンズに問題があるのではなく、おそらく観客のヤッピー(って今でもいうのかな?)たちが悪いのだ。そういう意味ではミック・ジャガーが当初予定していたリオでの野外大コンサートの方が、ロックらしい映画になったかもしれない。
とはいえ、それはまったく贅沢な悩みなわけで、最後まで素晴らしい映画でした。
余談ですが、昔のチャーリー・ワッツは『ノー・カントリー』のハビエル・バルデムと顔がいっしょで怖い!
■『ザ・ローリング・ストーンズ シャイン・ア・ライト』HP
■滋賀会館シネマホールHP