2009年02月27日
コミさんの旅

『田中小実昌エッセイ・コレクション〈2〉旅 』(ちくま文庫)
雨ばかりの2月がもう終わろうとしている。まだちっとも具体化はしていないのだが、GWに家族で旅行に行く話が出ている。GWには毎年釣りに行ってたのだけど、たまには釣りを目的としない旅行もいいのかもしれない。
旅をテーマにした田中小実昌のエッセイを集めた文庫を読んだ。コミさんは旅が好きなのだが、その旅にまったく目的はない。旅がテーマになっているのだが、コミさんの旅は一般的な旅とは全然違う。観光地に行くこともないし、自分を探して放浪したりすることもない。旅に行くことさえまったく興味がないようにも思える。
知らない土地に着くと、その土地の飲み屋を探し、ぶらっとはいると何軒もはしごしながらずっと飲み歩いている。女のひとがいっしょのこともあるし、飲み屋で知り合って、いい感じになることもある。
だいたい旅のきっかけもなんとなく行き先もわからないままバスに飛び乗って、適当に乗り継いで、いけるところまで行ってみたりする。内田百閒のように鉄道マニアのひとは多いのだけれども(内田百閒もただ鉄道に乗って、行って帰ってくるだけの旅が好きだった)、こんな普通の路線バスに乗るだけのマニアの話はあまり聞いたことがない。
最後まで読んでしまったら、これらのエッセイの出典リストが並んでいるので、順番に読みたくなった。その本を手に入れたら、リュックに本を詰め込んで僕も旅に出よう。
やっぱりGWの家族旅行はムリだな…。
Posted by もり at 00:23│Comments(0)
│ホン