2007年11月21日
デレク・ジャーマンの庭

+0 atelierさんのブログで、デレク・ジャーマンの言葉が引用されていたので、久しぶりに本棚から「derek jarman’s garden」をとりだしました。デレク・ジャーマンがその死の間際まで愛し手入れしていた庭についての彼の文章と、その庭の写真をおさめた美しい本です。
94年にエイズで死んだ彼は、原子力発電所のすぐそばにある荒涼とした海辺の漁師小屋を購入し、そこに庭をつくります。
原子力発電所とか、エイズとか、世紀末的なキーワードに僕のイメージは偏ったものになっているのかも知れないけれど、そこに作られた庭の美しさは、この世のものとは思われません。此岸でも彼岸でもない、「デレクジャーマンの庭」としか呼びようのない特別な次元に存在する庭の写真に長い時間魅入られてしまいます。
間違いなく自分の死を意識して書かれた文章はどこまでも静かで、やはりゆっくりと僕のココロの奥の方に届いてくるような気がします。
彼が花壇に並ぶ草花の配置を語るところがいちばん好きです。
海に向かって左の花壇:
薄緑色の葉で芽ぶくセリ、アヤメ、ハンニチバナ、チコリ(ヤグルマソウと並んでいちばん青い花)、クマツヅラ、ローズマリー、シスタニ、ニオイアラセイトウ、ヨモギ、サントリナ、ニオイアラセイトウ、ワスレナグサ、ナデシコが2本、花壇の周囲を取り巻いているのがベンケイソウ。
記述はこのあと、右側の花壇、その向こうのサークル花壇、小屋の右側、2番目のサークル花壇、道路沿い、道路の向こう側の草花、と続きます。草花の名前をきいても、その姿が思い浮かべられないのがひどく残念なのですが、庭をたいせつに愛おしむ彼の気持ちが深く伝わってきます。
僕にとって、デレク・ジャーマンはザ・スミスのプロモーション・ビデオを撮ったひとで、そのあといくつかの印象的な映画を残したひとでした。映画はわりと眠い映画でした(その究極がBLUEでした)。僕は随分背伸びして、彼の映画を観ていました。
「derek jarman’s garden」が日本で出版されたのは1997年のことでした。出版元の光琳社出版はつぶれてもうないので、手にいれるのは難しいようです(原著の方が安く手に入れられそうです)。
追記:気になって、彼の庭があったダンジュネスという場所をグーグルでマップ検索してみました。
写真表示にすると原子力発電所が確認できます。
Posted by もり at 01:51│Comments(2)
│ホン
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「世界が静止して人間がいなくなったら、 この花を植えたのが、花なのか、鳥なのか、だれにもわからない」(「メディウムとしての庭」伊藤俊治より、デレク・ジャーマンの言葉)デレ...
最後の庭【そんなふうなこと。】at 2007年11月21日 10:51
この記事へのコメント
もりさま、こんにちは。
リンク、恐縮です。
原子力発電所と花。
人間の存在をあらわすモチーフとしては
これほど強烈なものはないかもしれませんね。
リンク、恐縮です。
原子力発電所と花。
人間の存在をあらわすモチーフとしては
これほど強烈なものはないかもしれませんね。
Posted by +0 atelier
at 2007年11月21日 11:08

+0 atelierさん、こんにちは。
(勝手な想像ですが・・・)放射能を浴びて育った花が放つ香気に、しばし目を奪われます。
普段は本棚に飾ってあるだけの本なのですが、ときおり思い出して、手にとってしまします。
(勝手な想像ですが・・・)放射能を浴びて育った花が放つ香気に、しばし目を奪われます。
普段は本棚に飾ってあるだけの本なのですが、ときおり思い出して、手にとってしまします。
Posted by もり at 2007年11月26日 13:05