『絶対少女/大森靖子』

もり

2013年12月29日 12:59


『絶対少女/大森靖子』

10月にリリース情報が流れてから、指折り数えて待ちわびた大森靖子のセカンドアルバム『絶対少女』がようやくリリースされた。発売日にレコードショップに行き購入するなんていつ以来のことだろう。誰の新譜以来のことだろう。

3月にリリースされた『魔法が使えないなら死にたい』を何度も何度もiPodで繰り返し聞きながら、春から夏にかけては生の大森靖子を京都大阪で4回見た。彼女が主演した映画『サマーセール』を再見する機会もあって、彼女が新宿アルタ前で歌う「PINK」に衝撃を受けながら、夜の新宿で誰も聴衆がいない中、「展覧会の絵」を健気に歌う大森靖子を観て、恋に落ちたのだと再認識した。8月末には東京のクアトロワンマンのDVDがリリースされ、11月には来来来チームとのコラボアルバム『ポイドル』が矢継ぎ早にリリースされていて、僕の2013年は、ほぼ大森靖子一色に塗り潰されてしまったのである。そして、今年二枚目のフルアルバムを僕は手に入れたのだ。

前のアルバムがリリースされたときに、僕はこのブログで、「25歳の大森靖子はもう少女ではないし、毎晩寝て起きるたびに少女性を失い続けているのだ。その悲しみと絶望が彼女の歌の根底に流れるブルースだ。」とわかったようなことを書いたのだが、新譜のアルバムタイトルは『絶対少女』で、彼女は失い続ける少女性に抗うかように、絶対に少女であることを高らかに宣言している。それを信じる強い思いが彼女のロックンロールを鳴らし、このアルバムに結実している。

1曲目「絶対彼女」のなかで大森靖子は“絶対女の子がいいな”と歌う。そこには少女性を失う悲しみも絶望もない。大森靖子は、少女であることを全肯定し、その歓びを歌う。そして「over the party」では“Over 30 おばさん/鏡の中でちょっとマシにやっている/進化するブタ/お前の国の言葉なんて知らない”とメランコリックに嫌味をこめて歌うのだ。

絶対少女の彼女に、敵はない。アイドルポップ、テクノポップ、ボサノバ、フォーク、ピアノ弾き語り、ロック、ノイズ、ジャズとごった煮的に曲調を変えたって、全部大森靖子の歌だ。彼女に恋する僕は盲目的に褒めたたえ、毎日繰り返しその音を聴くだけだ。

昨日、ようやくレコ発ツアーが発表された。京都は2月27日拾得だ。あと2ヶ月、僕はまた指折り数え、彼女のライブに想いを寄せながらその日を待つのだ。


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