『魔法が使えないなら死にたい/大森靖子』

もり

2013年04月25日 22:31


『魔法が使えないなら死にたい/大森靖子』

3月にリリースされた大森靖子のファーストフルアルバム『魔法が使えないなら死にたい』。買ってからすぐにiPodにぶっこんで何度も何度も何度も繰り返して聴いている。前作『PINK』で恋に落ちた僕は、このアルバムでさらに気持ちを昂ぶらせたのだ。やばいのだ。

恋をした僕は生身の大森靖子を見たい気持ちが抑えられず、4月5日にVOXhallで行われたレコ発ツアーにも駆けつけたのだ。前座の安藤明子の演奏が終わったあと、たいして間も置かずに、おもむろにステージに彼女が現れたのは9時前だった。最初の曲はアルバムの3曲目「新宿」だった。

1時間程の短い時間だったけど、僕は彼女の歌と、掻き均されるギターと、暗いステージの上で光る蛍光ピンクシールドと、曲間にときおり挟まれるMCでのはにかむうような表情に、目とココロを奪われ続けていたのだ。

映画『サマーセール』で見たように、彼女はギター1本で歌を歌った。黒っぽいワンピースにハイヒールをはいた彼女は頼りなげに立っているのに、彼女の歌と、歌を歌う存在感は圧倒的で、鷲掴みにされたココロはずっと揺さぶり続けられ、ライブが終わったあとは、呆然として春の夜の町に取り残されたのだ。


“魔法が使えないなら死にたい”と歌う彼女の覚悟に僕は圧倒され、ココロを奪われたのだ。

もしかすると“魔法”は少女にしか使えないのかもしれない。25歳の大森靖子はもう少女ではないし、毎晩寝て起きるたびに少女性を失い続けているのだ。その悲しみと絶望が彼女の歌の根底に流れるブルースだ。“スカートから零れるブルース”なのだ。

しかし、彼女は少女性の持つ商品性に自覚的だから、POPな曲を書く。耳になじむメロディを歌うのだ。


『魔法が使えないなら死にたい』の1曲目「KITTY'S BLUES」が特に好きだ。恋はまだ続くのだ。

「KITTY'S BLUES/大森靖子」

キティちゃんの 白いところ
6Bで塗りつぶす
夢は汚いほどかなうもの
かわいくないから待ちぼうけ

消しゴムでごしごしやってたら
グシャってやぶれて ぼろぼろだけど
私はこれでいいのよ
私はこれでいいのよ

交番にひきずりこまれて
わけもなくいいわけをした
スカートから零れるブルースが
みつからないように
みつからないように

君の白いこころ
ろくでなし 擦りつぶす
愛だっていえるくらい ちゃんとしたい
ぼろぼろだけど ちゃんとしたい

ちょっと古いうたを聴いても
懐かしくならないで

悲しみの果ては おまわりさん
この道の果て
BLUE BLUE
ブルース
ぶら下がって 揺れる夢

交番にひきずりこまれて
わけもなくいいわけをした
スカートから零れるブルースが
みつからないように

HELLO 馬鹿女 KITTY



 

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