2012年の戸川純
大阪梅田のライブハウスAKASOで、戸川純のライブを観た。1983年にリリースされた『玉姫様』からほぼ30年。かって好きなアイドルは?と聞かれて戸川純と答えていたにもかかわらず、ライブを観たのは実ははじめてだったのだ(生の戸川純は数年前に二人芝居を観たことがある)。
1曲目の「諦念プシガンガ」でいきなり昇天。もう最高だ。言葉にならない。なんならこの1曲でライブが終わっていても僕は満足していたに違いない。
しばらく前から腰が悪くてリハビリを続けているらしく、基本的に座ったままだったので、少し見にくかったのは残念だったけど、それがどうしたというのだ。戸川純がステージに立ち「玉姫様」や「蛹化の女」を歌っているのだ。腰を庇うせいか、曲間のMCもいちいち長かったし、途中で休憩をはさんだ二部構成になっていたとはいえ、アンコールの「パンク蛹化の女」まで全25曲。「諦念プシガンガ」だけで満足したのに2時間半も幸福な時間が続いた。
妹の戸川京子が「バーバラ・セクサロイド」の振り付けの一部を考案したエピソードや、彼女自身がヤプーズのセカンド『大天使のように』を気にいっていなくてボックス以外に再発を許していない(僕もあのアルバムがピンとこなくて、ヤプーズ及び戸川純と疎遠な90年代を過ごしてしまったのだ。それはまさに失われた10年間だ)ということ、「電車でGO」で一緒にコブシを振り上げるように、はにかみながら話す様子、ときに冗長だと感じたMCも思い返してみると、どれもかけがえのないものだったと感じる。
30年のキャリアを網羅するような選曲はまさに戸川純ベストいうべき内容だった。なによりファルセットはあまり出ないと云っていたけれど、戸川純の声ははじめて『玉姫様』をきいたときからちっとも変わっていない。時間も空間も超えて戸川純は戸川純だった。
来年もまた観に来よう。
ライブからの帰りにはiPodにいれてある『TOGAWA LEGEND』を聞きながら僕はまたニヤニヤしてしまったのだ。
戸川純事務所のtwitterにこの日のセットリストがアップされていました。
第一部:諦念プシガンガ、コレクター、コンドルが飛んでくる、12階の一番奥、金星、赤い戦車、ヒステリヤ、憤怒の河、蛹化の女、眼球綺譚、ローハイド、NOT DEAD LUNA、フリートーキング
第二部:肉屋のように、Men's JUNAN、玉姫様、シャルロット・セクサロイドの憂鬱、サンプルA、吹けば飛ぶよな男だが、電車でGO、母子受精、バージンブルース、バーバラ・セクサロイド、レーダーマン
アンコール:パンク蛹化の女
■戸川純事務所twitter
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