こんな夜におまえに乗れないなんて
「MARVY/RCサクセション」
いつの頃からか清志郎は自転車にはまって、今月の「BE-PAL」でも「ありがとう清志郎さん!あなたの旅は、ブルースでした」と追悼される始末だ。健康的でアウトドアな清志郎は、乗り物をセックスと絡めて歌にするのが得意だった清志郎のイメージとかけはなれている。
こんな夜におまえに乗れないなんて
こんな夜に発車できないなんて
「雨上がりの夜空で」
おまえのエアポートに着陸したい
ホラもう滑走路はこんなに濡れて
「スカイ・パイロット」
“バッテリーはビンビンだぜ”だとか、“エンジンの性能をためしてみないか”だとか、清志郎はわかりやすかった。
『MARVY』におさめらている「 SHELTER OF LOVE 」でも“いくら僕のマシンがよくてもだめさ”“ぼくをシェルターのなかに/入れて入れておくれよ/君のシェルターのなかに/入れて入れておくれよ”と歌うのだ。
70年代の売れない時代をどうにか生き延びた清志郎はRCサクセションを再生させるために、ステージ上では派手にメイクをして、誰よりも高くジャンプして、「愛してまーす」と叫んだ。そしてセックスをイメージさせるような歌を、これはいいアイデアだとばかりに歌わずにいられなかったのだ。
乗り物とは関係ないけれど、梅津和時率いるDANGERのアルバムにおさめられた「貴女のお嬢さんに」が好きだ。これもわかりやすくて何度聴いてもにやにやしてしまう。
貴女のお嬢さんによろしくお伝えください
息子が会いたがっています
この次お会いする時は草原のその奥に息子を
連れて行こうと思います。
ララララ……息子が会いたがって泣いてます
「貴女のお嬢さんに/DANGER」
やさしいピアノと清志郎の声にフリーキーなベースとホーン、ドラムが静かに絡み合う名曲なのだ。
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