若冲と江戸絵画展 その2

もり

2006年10月11日 02:37

 はじめて伊藤若冲の絵を生で観て強く感じたのは、「紫陽花双鶏図」の鶏のハックルでフライを巻きたいということだった。おそらくフライフィッシングをしているものなら誰もが思うことだ。



 首周りに伸びた艶があって、しなやかな芯をもったハックル(首周りの羽根)ならきっときれいなフライを巻けるに違いない。そしてなにより釣れそうだ。もちろんハックル部分以外にも全身の羽根がつかえそうだ。コンプリート(全身の羽根)で購入するとかなり値がはりそうだなぁ、なんてことを思う。フライをしないひとには、よくわからない話だろうが、そのことを再認識したのだからしようがない。
 若冲の羽根で巻いたフライで釣りにいくことを、しばし夢想してしまったのだ。


 今回の展示は「正統派絵画」」「京の画家」「エキセントリック」「江戸の画家」「江戸琳派」の五つのカテゴリーに分かれてれていた。伊藤若冲の絵は曾我蕭白らと共に「エキセントリック」のコーナーにまとめて展示されいた。若冲を観る前に 「京の画家」のコーナーで円山応挙と長沢芦雪を観て、ボクは既にプライスコレクションの凄みのようなオーラを感じていたのだけれども、やっぱり若冲はこの展示会の目玉であり、ボリュームもあって十分に堪能できました。

 プライス氏がスポーツカーの購入費をあてて、はじめて購入した「葡萄図」の凛とした佇まい。絡み合う鶴が不思議な表情を見せる「群鶴図」。大きな水色の目玉ところころと丸くて太い前足をもった愛嬌のある虎を描いた「猛虎図」。そしてエキセントリックの極地“枡目描”で描かれた「鳥獣花木図屏風」。流れるような自然な曲線が深い印象に残った「鶴図屏風」。いくつかの墨で描かれた絵は極彩色の作品以上にの色っぽい絵だった。

 上手に表現できないのがすごくもどかしいのだけれども、とにかくボクは楽しみにしていたこの展示会を期待以上の深い感慨をもって観ることができたのだ。

 若冲の作品が続いたあと、曾我蕭白はさらに度を越えたエキセントリックな絵でおもしろかったのだけど、それ以降、「江戸の画家」「江戸琳派」のコーナーは薄い印象しか残ってません。
※同じエキセントリックでも、伊藤若冲の絵はフライフィッシングに繋がり、曾我蕭白の絵を観るとなぜだか、『「エキセントリック少年ボウイ」のテーマ』を唐突に思い出し耳から離れなくて困ってます。


「寒山拾得図/曽我蕭白」

「若冲と江戸絵画」展HP
「若冲と江戸絵画」展 オフィシャルブログ

関連記事