バラードの死
春になるとSF作家が死んでいく。
2006年3月27日にスタニスワフ・レムが、2007年4月11日にカート・ヴォネガットが、2008年3月19日にアーサー・C・クラークが、そして昨日の夕刊に小さくJ・G・バラードの死が伝えられていた。あやうく見逃してしまうような小さな記事だった。
音楽に限らずニューウェーヴとか、ヌーベル・ヴァーグに条件反射的に反応して、とにかく従順な子犬になって尻尾を振ってしまう僕にとってとってSFの新しい波といえばJ・G・バラードでした。
世界が結晶化する『結晶世界』、水の底に世界が沈んだ『沈んだ世界』、あらゆるものが完備された高層マンションのなかで階層ごとの確執が深まる『ハイ・ライズ』あたりが僕のお気に入り。好きな作家なので、その死は残念なのだが、ずっと絶版になっている『ヴァーミリオン・サンズ』がこの機会に復刊されないかな、と考えてしまう。
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