『ナイロン100%/ばるぼら』
『NYLON100%/ばるぼら』(アスペクト)を読了。
80年代のポップなトーキョーの情報発信サロン的な伝説のカフェ“ナイロン100%”の全貌を、そこに関わった人たちへのインタビューで描き出した80年代ニューウェーヴ世代にはたまらないエピソード満載の一冊です。なにしろ戸川純がアルバイトをしていたという伝説のカフェなのです。それだけでトンガリキッズに憧れていた僕はムネのコドウが早くなります。
前に読んだ
『ストリート・キングダム/地引雄一』の東京とはパラレルの80年代のトーキョーがあって、それぞれがそれぞれに偶然にではなく、必然的にナイロン100%に集まり、トーキョーの中でもひときわ人工的なネオンの明りを明滅させていたのです。そしてその灯りを道しるべとして集まってきた人たちによって、さらに常夜燈としての役割を果たすようになっていきました。
“ナイロン100%”でライブを行ったヒカシューの巻上公一や81/2の久保田慎吾、ハルメンズのサエキケンゾウ、戸川純、Phew、ゲルニカの上野耕路、さらに有頂天のケラや大槻ケンジに至る日本のニューウェーブシーンを彩る多彩な面々に加え、歴代の店長やスタッフ、客としてナイロンに通っていた常磐響、先の地引雄一や当時の宝島編集長関川誠まで登場して“ナイロン100%”とその時代を多面的にあぶり出していきます。
それはもう青春のキラメキ以外のなにものでもありません。
そしてニューウェーブをひとつの価値判断の基準としているような、ネクラな僕にとっては、やっぱりそのキラメキは眩し過ぎるのです。
あー、あと各見開きの右隅にナイロンの推薦するニューウェーブ系のレコードジャケットが150枚以上も掲載されていて、あれもこれも欲しくなってたまりません。
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