『アンビエント・ドライヴァー/細野晴臣』

もり

2011年04月17日 23:58



『アンビエント・ドライヴァー/細野晴臣』(マーブルトロン)を読了。

90年代半ばと00年代半ばに細野さんの雑誌連載をまとめた1冊。細野さんの優れた仕事のなかで、僕にとっては最もピンとこないアンビエント時代のアンビエントなモノローグといった感じで、特に前半(90年代半ばの方)は退屈だった。ニューエイジだとかネイティブ・アメリカンだとか、まったく興味がないわけではないのだが、ミュージシャンがそういうこと言い出したときは注意が必要だ。音楽(ロックやポップス)は高尚になればなるほど詰まらなくなるから。どおりで90年代の細野さんの仕事がピンとこないわけだ。

それで90年代後半から現世に引き戻されたように昔の仲間たちとハリー&マック(久保田麻琴)やティンパン(鈴木茂、 林立夫)、スケッチ・ショウ(高橋幸宏)とまた嬉しい作品のリリースが続く00年代の方は、その内容も音楽的なエッセイが増えて嬉しい。スケッチ・ショウのステージで高橋幸宏の助言に従い眉を細くしたところ「意地悪そうだ、怖い」感じになったエピソードとか、気味が悪い細野さんの姿がイメージできて楽しい。

そうして読み終わってみると、前半のところも読むタイミングが悪かったのだと思う。90年代の文化や、ニューエイジがちょっと古くさいイメージになっている現在より、90年代が見直されたとき(70年代や80年代がリバイバルしたように)に細野さんの仕事を振り返りながら読むとまた別の発見があったのかも知れない。


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