『前日島/ウンベルト・エーコ』
先に読んだ『東京島』に続き、一種の無人島ものといっていい『前日島(上)(下)/ウンベルト・エーコ』(文春文庫)を読了。
文庫化された2003年に購入していたのですが、エーコの作品は絢爛たる修辞に目が眩みさくさくとは読めないので、長い間後回しになっていました。
主人公のロベルトは子午線をはさんで永遠に前日である島の入り江に棄てられた難破船に漂着します。難破船で思い起こす生い立ちや、幻の兄弟を主人公に据えた冒険譚。複数のストーリーに、中世ヨーロッパの史実や、錬金術などが絡みあって、とにかく脳を刺激してやみません。読書する快楽とともに、知らない事実や知識が僕の脳みその許容量をはるかに超えてあふれるので、それを追いかけるのに必死になります。小さなボートに沁みだす水を掻き出すような疲労感が残ってぐったりとします。知識の海で沈没しそうになるのです。
『薔薇の名前』や『フーコーの振り子』もそうだったのですが、もういっかい読みたい本のリストにアップされたのですが、再読の機会がいつになるのか、検討も尽きません。去年、『バウドリーノ』も邦訳されたばかりだし・・・。
あぁ、仕事してる時間が勿体ないです。
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