ららら科學の子
ようやく読んだ矢作俊彦の傑作、「ららら科學の子」。
やはり矢作俊彦は凄玉だ。
学生紛争時、殺人未遂に問われ、中国に密航した主人公が30年後の東京に戻ってくる。
主人公の記憶に残る60年代末の東京とリアリティのない90年代末の東京が対比される。主人公は親友の組織に匿われながら、不在だった30年という時間を埋めようと東京を彷徨う。
主人公が自分自身を確認し、生きるために決断した物語の結末。
熱い余韻と静かな興奮が僕のなかで力強く広がるのを感じた。
読み終わったばかりの本のページを捲り、気になったシーンを読み返した。
力のある作家の、力のはいった作品を読むよろこびがここにはある。
こんな本を読んだあとは、いくらでも本が読めそうな気がする。
次ぎに読む本を選ぶのにも力が入る。
何冊も何冊も、たいして読む価値のない本を読んで辿り着いた悦び。
また今日も本が読める!
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