曼殊院の幽霊
息子の母方のおばあちゃんが入院しているため、奥さんと息子は実家に帰っています。僕も週末は釣りに行く気持ちを放棄して修学院にある奥さんの実家で過ごします。
日曜日は息子を虫採りに連れていきました。
音羽川の上流は大掛かりな護岸と堰堤によって、いわゆる親水広場として整備されていますが、多くのひとに利用されてないのが救いでまだまだ静かです。
その広場の南側にクヌギの木が何本も生えているのを僕は数年前に見つけていました。カブトムシの頭が落ちているのを見つけたこともあるので、期待してたのですが、小さな黒いカナブンを見つけただけでした。息子はなにやら喜んで虫かごに大事そうにいれていますが、僕はちっともおもしろくありません。
帰りに曼殊院の方へまわると、壁沿いの苔の緑がいっそう深く鮮やかでした。
紅葉の時期とは違って観光で訪れるひともまばらで、タクシーが二台停まっているだけです。
曼殊院といえば、紅葉よりなにより幽霊の掛け軸です。初めて見たときは、何も知らずのぞいた廊下の奥の正面に無造作に飾ってあって、心底驚きました。あまりの禍々しさにぞぞぞと寒気がたったものです。
二度目にみたときは曼殊院が改装中で祭壇のようなものにまつられていて、最初ほどの衝撃はありませんでした。
今はどうなっているのでしょう。由来が由来だけに
曼殊院のホームページにはひとことも記載されていません・・・。不自然といえばあまりに不自然。やはり祟りがあるのでしょうか?
掛け軸に描かれた幽霊の気配が辺りに満ちていました。首筋に流れる汗が、湿っぽい夏の空気がまとわりついたせいなのか、それとも冷や汗なのか、僕にはわかりませんでした。
そんな恐ろしいことに僕が思いを巡らしていたことに息子はちっとも気がついていません。
ブンブンのはいった虫かごを抱えて、冷たい麦茶を口にしています。息子はまだ虫を採りたい気持ちでいっぱいのようですが、家に帰ることにしました。
幽霊の掛け軸のことはともかく、修学院か、大文字辺りでカブトムシやクワガタが採れるところを誰か教えてください。
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