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2011年02月20日

『荒地の恋/ねじめ正一』



『荒地の恋/ねじめ正一』(文藝春秋)を読了。

戦後の現代詩を代表する同人誌“荒地”の同人であった北村太郎と田村隆一、そして田村隆一の妻である明子を巡る小説です。高校時代からの友人の妻に恋する実名小説と発売当時そのスキャンダラスな面で話題になった本なのですが、その不倫に関しては北村太郎は誠実に対応していて、ちっとも醜聞的ではありません。恋した相手が既婚者で、しかも友人の妻だっただけのことです。後半に挿入される若い愛人との逢瀬の方がずっと刺激的だったりします。

しかし、それよりも大切なのは明子との不倫までに、たった2冊に詩集分の詩しか残していなかった北村太郎が新しい恋の後、次々と詩を書き始めたことなのでしょう。

詩を書くという行為や表現はひどく純粋で、詩人の肩書きだけで生活していくことは難しく(それこそ谷川俊太郎くらいなものでは?)、北村太郎も新聞社で校正や翻訳の仕事をしながら慎ましい生活を送っています。さらに新聞社の仕事を辞めてしまった後は、同棲をはじめる明子に資産がなければ、到底やっていけなかったのでは、と感じさせます。

そうした生活の中で、北村太郎は生活の為もあってなのでしょうが、これまでにないペースで詩作をし、詩集を出して行きます。しかし、そのことに関してねじめ正一は書いたという事実は述べても、詩を書く行為やその感情については詳しくは書いていません。それは詩人だからこそ出来たアプローチなのでしょう。

詩人の名前は知っていても現代詩にはまったく疎く、詩集といっても「エリーゼのために」(忌野清志郎!)くらいしか持っていないのですが、あらためて北村太郎や荒地の詩人たちの詩を読んでみたいと思いました。

   


Posted by もり at 23:23Comments(2)ホン